理学療法士の現場で活躍でするための臨床実習の変更をご紹介！

「理学療法士の臨床実習はどのような実習内容なのか」

「理学療法士の臨床実習が変更になったけど、具体的にはどう変わったのか」

「臨床実習に大切なこと、臨床実習を乗り越えるために何をするのか知りたい」

 上記のような悩みを抱えていませんか。

「理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則」により、理学療法士の養成学校のカリキュラムや臨床実習の内容などを定めています。

近年、超高齢社会が進み医療や介護福祉業界の需要が拡大したことで、2020年4月から新しい指定規則に改正されました。

この記事では、理学療法士の臨床実習に関してどのような変更点があるのか、また臨床実習で大切なことや乗り越えるために何をするのかについて解説します。

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理学療法士の臨床実習の概要や変更点

理学療法士の養成学校では、臨床実習のカリキュラムが組まれており、実践力を養うことが求められます。学生が病院や介護福祉施設などで実習を行い、臨床現場での患者さんの評価や治療プログラム、治療方法を学んでいくのです。今回、「理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則」の改正に伴い、臨床実習における変更点がありますのでご紹介します。

臨床実習の3構成

臨床実習は、養成学校で学んだ知識や技術を実際の現場で行い、理学療法などを学ぶことです。各実習にて理解を深めて、進捗状況に合わせて実習を行うことが重要です。理学療法士の実習は、3構成に分けて進めていきます。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

見学実習

実際の現場に訪れて、実際に理学療法士の仕事を見ることができます。1年次に行われる実習であり、理学療法士の重要性や役割などを学ぶことが可能です。理学療法士の仕事の流れや治療の進み方を知ると、目標が明確となり学習のモチベーションが高まります。

評価実習

理学療法士が実際に行う検査や測定方法などを実施し、患者さんの症状や障害の理解を深めます。理学療法士による適切な検査や測定方法から、患者さんの状態を評価して、どのような問題点があるのかを見極める実習です。理学療法の専門的な基礎知識、他職種の連携などを学ぶことができます。

総合臨床実習

養成学校の最終学年次に行われる総合臨床実習です。総合臨床実習では、患者さんに対して検査や測定、経過観察などで具体的な症状を把握します。そして、患者さんに合わせた治療プログラムの立案し、プログラムに基づいてリハビリテーションを評価、分析するのです。理学療法や運動療法の基礎だけでなく応用的な部分を学ぶことが可能です。

 臨床実習の単位数の変更

理学療法士の臨床実習の単位数は、18単位から20単位に増えます。臨床実習の1単位当たり45時間から40時間以上の自習、実習時間外の学修がある場合は45時間以内と変更されています。理由としては、実習の準備や実習レポート作成など課題に取り組む時間を確保するためです。

臨床実習の時間は以下の通りに変更しています。

• 医療提供施設にて3分の2以上の臨床実習
• 医療提供施設である病院または診療所において2分の1以上の臨床実習
• 訪問リハビリまたは通所リハビリにおいて1単位以上の臨床実習

特に、訪問リハビリテーションまたは通所リハビリテーションの臨床実習が増えています。以前の臨床実習では、病院や介護施設が主な実習先でした。しかし、現在のニーズに伴い訪問リハビリや通所リハビリを利用する高齢者が増え、自宅環境に合わせた指導が必要となったのです。

臨床実習指導者の要件

実習生の臨床実習指導者に関しても新しい要件へと変更されました。以前は、臨床経験が3年以上の理学療法士の要件であり、新人から独り立ちしてから実習生を受けもつ体制が多かったようです。今回の改定により、臨床実習指導者の質の向上を図るために、新しい要件へと変更されています。

• 理学療法士の免許取得から臨床経験が5年以上従事していること
• 厚生労働省が指定する「臨床実習指導者講習会」を修了していること

臨床実習指導者は、臨床経験が豊富な理学療法士であり指導者講習を修了など条件を満たした人が担当します。実習生に対して、実践的な指導を行い、卒業後に現場に出ても率先力になる理学療法士を育てるのです。

 診療参加型の臨床実習

理学療法士の育成にあたって、CSS（クリニカルクラークシップ）を導入が進んでいます。CSS（クリニカルクラークシップ）とは、現場の理学療法士の指導のもと、患者さんと接しながら検査測定や治療技術を学ぶ実習のことです。見学、模倣、実習の3つの段階を踏みながら実習を進めていくスタイルです。臨床実習は、診療参加型にすることで実習生もできるだけ診療チームの一員として参加させます。診療参加型にすることで、医療チームが立案した診療計画に基づいた実践的な実習が可能です。

今までの臨床実習では、症例レポート中心に進んでいたのです。現在は、臨床実習の現場でさまざまな患者さんに触れる機会を増やし、さまざまな臨床経験を踏みます。臨床実習を通して、学習意欲の向上や実践的なスキルを高めることができます。

理学療法士の主な実習先

実習先にはどのような特徴があり、どのような患者さんが治療にあたっているのか把握することが重要です。ここでは、理学療法士を目指す学生の主な実習先について解説します。

病院などの医療機関

現在、多くの理学療法士が在籍しているのが病院などの医療機関です。病院は急性期、回復期などに分けることができ、臨床現場における実習内容も大きく変わってきます。

急性期病院

県立病院や民間の総合病院が該当しており、救急患者などの緊急性の高い患者の治療にあたる病院のことです。急性期病院は、理学療法士の適切なリハビリにより、日常生活の復帰に直結する部分なのでとても重要です。豊富な知識と高いスキルが必要なため、より優秀な人材が集まります。実習生の能力を飛躍的に高めることができるでしょう。

回復期病院

回復期病院には、回復期リハビリテーション病院などがあり脳卒中や人工関節治療、股関節頸部骨折などさまざまな症例の患者さんがいます。主な治療対象は、リハビリ効果が高い患者さんのために実施することが多いです。在宅復帰を視野に入れて、自立した生活や職場復帰を目指すリハビリテーションが必要です。そのため、患者さん一人ひとりに合わせた具体的な治療プログラムを立案することが求められます。

診療所やクリニック

診療所やクリニックは、院設備が19床以下の医療機関であり整形外科に理学療法士が在籍しています。基本的には、外来患者さんが多いため、日常生活を維持や職場復帰を目的とした物理療法や運動療法を行います。

介護保健施設

介護保健施設は、介護分野の中で特に理学療法士が増えています。介護が必要な患者さんのために、在宅復帰を目指すリハビリテーションを行います。他職種の医師や看護師、介護士、作業療法士などと相互連携してリハビリテーションを実施することが必要です。

訪問リハビリや通所リハビリ

高齢者が施設に通い、理学療法士による日常生活に必要なリハビリを行うのが通所リハビリテーションです。一方、理学療法士が患者さんの在宅に訪れ、リハビリを行うのが訪問リハビリテーションです。家族の介護負担を軽減させ、自宅でも安心して生活を送ることができます。患者さんや家族のライフスタイルに合わせた、理学療法や介護サービスを身につけることができるでしょう。

 臨床実習の現場で大切なこと

臨床実習の現場は、初めてのことばかりで体力的にも精神的にも追いつめられます。臨床現場で大切なことは、良好な人間関係を築いて有意義な実習にすることです。ここでは、臨床実習の現場で実習生が大切なことをご紹介します。

社会人としてのマナー

どこの臨床現場でも同じだと思いますが、臨床実習では社会人としてのマナーを守ることが大切です。臨床現場に働く医療従事者や入院や通院している患者さんに対して笑顔で明るくあいさつをし、言葉遣いは十分に気をつけましょう。また、遅刻や欠席は絶対にしないように注意し、体調がすぐれない場合は必ず連絡しましょう。臨床現場では、最低限の社会人としてのマナーを守ることで良好な関係を築くことができます。

担当患者さんとの信頼関係を築く

臨床実習では、担当患者さんとの信頼関係を構築することが重要です。担当患者さんをリハビリテーションするにあたり、筋肉や関節、病気の状態を把握し、メンタル面もしっかりアプローチすることが求められます。患者さんとの信頼関係を構築していないと、検査や治療などを進めるのが難しくなります。まずは、患者さんに寄り添ったアプローチをして、何ができるのか常に考えて行動にすることが大切です。患者さんとのコミュニケーションを密に行い、心身に寄り添った理学療法を心がけましょう。

常に勉強する姿勢を忘れない

担当患者さんの評価や治療プログラム、方針などを治療する上で必要な知識を勉強します。臨床現場では、養成校で学んだ知識などをもう一度振り返り、学んでいく姿勢が重要です。また、担当患者さんの評価や治療プログラム、治療経過、治療結果などを踏まえたレポートを作成します。患者さんの症状や経過観察、検査内容などを具体的にレポートに落とし込むことで、客観的に見直すことが可能です。そして毎回、担当指導者から理学療法などののアドバイスやレポートの書き方などの指導を受けます。指導者から指摘された内容は、レポートなどにしっかりと反映させることが大切です。

理学療法士の臨床実習を乗り越える

臨床実習は、理学療法士になるための必要なカリキュラムです。臨床実習がつらくて途中で断念する実習生もいますが、非常にもったいないことです。実習生が、臨床実習をくじけずに乗り越えるためにはどのようにしたら良いのかをご紹介します。

書籍や資料をしっかりと準備する

実習期間中は、課題やレポート作成などで調べ物が増えます。しかし、書籍や資料を探すのは非常に時間がかかります。書籍や資料を探してから必要な内容を学び、レポートなどに反映させるとなると実習生には大きな負担です。それを防ぐためには、実習前には必要な書籍や資料を用意しておくと効率よく調べることができます。実習先において、事前に想定される基礎となる知識や技術を把握して、メモ帳などに簡潔にまとめておきましょう。

実習生として謙虚な姿勢で臨む

臨床実習は、理学療法士と患者さんにとっての大切なリハビリ時間をぬって指導を受けます。そのため臨床実習では、学ぶ意欲をもち謙虚な姿勢で実習に臨むことが大切です。見学時でも、理学療法士はどのような治療をしているのか、どのような声かけをしているのか、どのような方針でリハビリをしているのか考えましょう。常に向上心をもって取り組み、うまくいかないことがあっても気にせずに行動することが必要です。

達成可能な目標を設定する

実習前や実習中には、達成可能な目標を具体的に掲げることが重要です。目標を達成するには、どのような行動をとるのか具体的に紙に書き出します。たとえば、自分の苦手な分野を克服するための目標を掲げるのも良いでしょう。しかし、目標が高すぎると実習の途中で挫折する可能性があります。目標を掲げたら小さな目標を設定して、段階的にステップアップすると目標達成できます。

指導されたことを反映させる

実習期間中は、担当指導者からのさまざまな指導があります。臨床現場だけでなくレポート作成による指導に関しては、次回に反映させることが重要です。指導した内容が反映していないと、理解力が乏しいという判定をします。もし、指導された内容が理解できない場合は、その場でしっかりと確認して理解することが重要です。どこまでわかったのかをしっかりと伝えることで、指導者も適切なアドバイスができます。

まとめ

ここでは、「理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則」の改正に伴い、理学療法士の概要や変更点、臨床実習の現場で大切なことを解説しました。主な変更点として、臨床実習の単位数が増えて、通所リハビリや訪問リハビリの実習が義務化されたことです。また、臨床実習指導者は臨床経験が5年以上、指定された臨床実習指導者講習会を修了した経験豊富な理学療法士です。臨床実習は、より実践力を養うために診療参加型へと変化しています。理学療法士を目指す実習生は、臨床実習で実践力を磨いて患者さんに寄り添う立派な理学療法士を目指しましょう。

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