理学療法士は、主にリハビリの指導を行う動作の専門家です。
理学療法士の活躍場所は医療機関だけでなくスポーツ業界などさまざまに広がっており、高齢化の影響からニーズも高まっています。
そんな理学療法士になりたいけれど、
「社会人で日中は働いていて学校に通えない」「近くに理学療法士の学校がない」
といった理由から、通信課程で理学療法士の資格を取得したいと考える方もいるのではないでしょうか。
結論から述べると、通信課程で理学療法士の資格を取得することはできません。
この記事では
・通信課程で理学療法士になれない理由
・理学療法士が活用できる通信課程
・社会人が理学療法士の資格を取得できる夜間学校
についてご紹介します。
通信課程のみで理学療法士の資格を取得することはできませんが、これから理学療法士になりたい方や現役の理学療法士の方でも、上手に通信課程を活用することはできます。
理学療法士の資格取得やスキルアップを目指している方は、参考にしてみてください。
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▶︎ まずは資料ダウンロード!通信課程で理学療法士になれない理由
理学療法士は運動療法や温熱、電気療法などを用いて、障害の回復や悪化の予防を目指すリハビリの専門職です。
人に直接関わる職業のため、マッサージや温熱、電気療法の手技やコミュニケーション能力などの実践力が必要となってきます。
実践力を磨くには臨床実習が必須となりますが、臨床実習は実際に病院や施設に行く必要があるため、通信課程では理学療法士にはなれません。
養成校への通学は必須
理学療法士を名乗るには、国家資格が必要です。
理学療法士国家試験の受験資格は「文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した理学療法士養成施設において、3年以上理学療法士として必要な知識及び技能を修得したもの」とされています。
指定された養成校は全国に279校(うち募集停止は16校、2022年8月時点)あり、夜間部を設置している学校もありますが、通信制の学校は1つもありません。
このことからも、理学療法士になるためには養成校への通学が必須であることがわかります。
理学療法士が活用できる通信課程
上記で述べた通り、通信課程では理学療法士の資格を取得することはできません。
しかし、理学療法士でも通信課程を活用する方法はあります。
目的別に3通りの活用方法と、詳しい内容についてご紹介します。
国家試験対策
理学療法士になるためには、国家資格を取得する必要があります。
理学療法士国家試験の合格率は平均して80%程度と、他の国家資格と比べても難易度が高い訳ではありません。
しかし養成校で学ぶだけではなく、自分から主体的に学ぶことで合格の可能性を高めることができるでしょう。
以下に国家試験対策を行える主な通信講座を3つご紹介します。
これらの通信講座はあくまで養成校で学び、国家試験の受験資格のある方が追加で受講し、国家試験の合格の可能性を高めるためのものです。
東京アカデミー
東京アカデミーは就職のための予備校と呼ばれ、理学療法士のほかにも看護師や公務員などの試験対策講座を行っています。看護師国家試験では合格者の約3人に1人が東京アカデミーの受講生というほど、実績のある講座です。
過去にCMも行っていたので、耳にしたことがある方も少なくないのではないでしょうか。
通学コースに加えて、全国どこからでも受講できるオンラインコースがあります。
東京アカデミーの特徴は予備校の最大手ならではのオリジナル教材や模擬試験で、教材、模擬試験ともに試験を徹底分析した上で作成されています。
20年以上毎年改定を加えて作成されたオリジナル教材「オープンセサミシリーズ」は、図や表を多用して重要事項をわかりやすくまとめたり、分野や項目ごとにチェックテストも掲載しています。
国家試験に向けて、スムーズに学習をすすめられるでしょう。
受講料は、専門基礎分野+理学療法専門分野の2コースを合わせて6万円です。
青藍塾
青藍塾は「浪人生の国家試験合格」を念頭に置いた通信講座です。
国家試験の普遍的な設問と変化する出題傾向を踏まえた、わかりやすいカリキュラムが設定されています。
養成校在学中で、しっかりと国家試験対策をしたいという方にも最適でしょう。
青藍塾の特徴は、生徒1人1人に合わせた指導を受けられる通信添削です。
毎月教材が送られてきて、問題を解き返送すると、翌月注釈を添えた解答が返ってきます。
養成校卒業後で勉強のブランクがある方でも、先生や同じ塾に通う仲間がいることでモチベーションを保ち続けやすいでしょう。
受講料は通年コースで10万円とほかの講座と比べると高額ですが、その分手厚いフォローをしてもらえます。
もりもと塾
もりもと塾は「理学療法士・作業療法士の国家試験合格を応援するサイト」です。
動画教材や穴埋め問題、国家試験の過去問と過去問解説が掲載されています。
暗記アプリ「i-暗記シート」にある教材を利用すれば出先でも学習でき、すきま時間も活用できるでしょう。
もりもと塾の特徴は、全ての教材が無料で閲覧・利用できることです。
手軽に始められるので、ほかの通信講座と組み合わせて活用することもできます。
理学療法士としてのスキルアップ
理学療法士として働く中で、さらに知識や技術を深めたいと思う方もいると思います。
理学療法士としてのスキルアップのために活用できるのが、以下のWeb講座です。
PTラーニング
理学療法士向けのWeb研修システムで、すでに臨床で働いている理学療法士のスキルアップを目的としています。
講義形式だけでなく実技も含まれる多彩なコンテンツで、すぐに臨床で実践できるスキルを学ぶことができます。
受講料金は1年間のコースで1万2千円、1か月のコースで3千円です。
理学療法士としての専門性の向上
「特定の専門分野を極めたい」「臨床の疑問を研究によって解決したい」など、理学療法士としての専門性を高めたい方は、大学院の通信課程に進学する方法があります。
大学院では自ら調査・研究を行うことで、深い専門性を身につけることができます。
また研究を通して読解力や論理的思考も鍛えられるでしょう。
大学院へ進学する場合、大学からそのまま進学するパターンもありますが、通信課程を利用する場合はほとんどが働きながら通うというパターンです。
理学療法士の通信課程を設置している大学院はまだ少数ですが、以下に代表的な2つの大学院をご紹介します。
吉備国際大学大学院(理学療法学専攻)
日本で初めて、通信制で理学療法の修士課程を学べるようになった大学院です。
「これからのリハビリテーションの発展を担う高度な理学療法研究を遂行できる人材を育成する」ことを目的としています。
受験するには、理学療法士として3年以上の実務経験が必要です。
吉備国際大学大学院での学習は、テキスト科目とスクーリング科目を組み合わせて行われます。
テキスト科目では、担当教員が選定したテキストや参考文献を用いて、自学自習を行い、レポートを作成します。
スクーリング科目(面接授業)では担当教員と直接対面し、研究に関する疑問点などを質問できます。
スクーリングは年に4回、1回で最長でも3日間の日程で行われるので、働きながらでも無理なく通うことができるでしょう。
メールやオンラインでの会議システムを利用し、遠隔地でもきめ細かい指導が行われています。
畿央大学大学院(健康科学専攻)
畿央大学大学院では、「健康科学」という新しい理念に基づき、理学療法学をさらに深めることができます。
「健康科学」とは、健康づくりの原点は「栄養・運動・休養」の一体化にあると捉え、食(健康栄養学科)、衣・住(人間環境デザイン学科)に加えて、運動・休養を中心としたリハビリテーション(理学療法学科)を統合した理念です。
「よりハイレベルな専門職業人」を目指し、理学療法士だけでなく、作業療法士や看護師、管理栄養士、建築士といった専門職を募集対象としています。
畿央大学大学院では、ほとんどの講義でライブ配信を行っており、実際の講義と同じ時間帯に自宅や職場で受講可能です。
さらに、授業を収録したオンデマンド教材が用意されるので、いつでも都合がつく時間帯に学習できます。
大学院の入学者の9割以上は働きながら学んでおり、社会人に配慮された環境が整っているので、安心して通うことができるでしょう。
Skypeを用いた個別指導やグループディスカッション、発表も行われており、遠隔の学生に対しても学びを保証しています。
社会人は夜間学校で資格取得可能
これまでに紹介した通信課程は、全てすでに理学療法士の資格を持つ方を対象としているので、まずは資格の取得方法を知りたいという社会人の方もいるのではないでしょうか。
まだ資格を持っていない社会人の方は、夜間学校で理学療法士の資格を取得できます。
これから理学療法士の夜間学校に関するメリット・デメリットをご紹介していきます。
資格の取得を考えている方は、メリット・デメリットを理解した上で夜間学校に入学するかどうかを考えてみてください。
夜間学校のメリット
①仕事との両立が可能
夜間学校は一般的に18時前後の時間帯から授業が行われるため、日中働きながら通うことができます。
夜間学校に通うためにはもちろん学費がかかるので、収入を保ちながら学べるのは大きなメリットです。
しかし後述する通り、最終学年時には仕事との両立は難しくなることは覚悟しないといけません。
②多彩な経歴の仲間との出会い
夜間学校は働きながら通っている方が大半です。
年齢層も経歴もさまざまな方がいるので、交流の幅が広がります。
また働きながらでも勉強したい、という高いモチベーションを持つ方も多いので、励ましあいながら学業に取り組めるでしょう。
③昼間部より時間が短く、学費も安い
夜間学校は昼間部よりも授業時間が短く、カリキュラムも最低限で設定されています。
授業時間の短さから学費も安い傾向にあり、年間で20から40万円程度の差があります。
夜間学校のデメリット
①時間の余裕がなく、かなりハード
夜間学校の授業時間は一般的に18:00~22:00前後です。
日中は仕事、仕事が終われば学校に行き、夜遅くに帰宅するという生活になります。
さらに学校の授業の課題や予習・復習を行うとなると、時間の余裕はほとんどないといえるでしょう。
②最終学年時には仕事との両立は厳しい
最終学年時には長期の実習があり、その期間は8週間×2回が一般的です。
1年のうち、計4カ月も仕事を休むというのは難しいため、最終学年時には仕事を退職せざるをえないでしょう。
まとめ
通信課程では理学療法士の資格を取ることはできません。
しかし理学療法士の方でも、国家試験対策や理学療法士としてのスキルアップ、専門性の向上を目的として通信課程を活用できます。
働きながら理学療法士になりたいという方は、夜間学校に通う方法があります。
夜間学校のメリット・デメリットを十分考慮し、納得のいく選択をするようにしましょう。
そして理学療法士になると決意した時には、今回ご紹介した通信課程を上手に活用して、素敵な理学療法士になってください。
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