求人票で「固定残業代あり」と見ると、「やめとけと言われるのはなぜ?」「残業代が出ない会社なの?」「ブラック求人なの?」と不安になりますよね。

結論から言うと、固定残業代は制度そのものが直ちに違法とは限りません。ただし、基本給と固定残業代の区分、何時間分か、超過分の支払い、実際の残業時間が曖昧な求人は注意が必要です。

この記事では、厚生労働省、ハローワーク、労働局の公的情報をもとに、固定残業代が「やめとけ」と言われる理由、危ない求人票の見分け方、面接・オファー面談で確認すべき質問を整理します。

  • 固定残業代が違法とは限らない理由が分かる
  • 求人票で見るべき基本給・固定残業時間・金額・超過分支払いを確認できる
  • 「月給が高く見える求人」の注意点を整理できる
  • 面接や労働条件通知書で確認すべき質問を準備できる

参照ポイント

固定残業代は「残業代を払わなくてよい制度」ではない

厚生労働省は、固定残業代を一定時間分までの時間外労働、休日労働、深夜業に対する割増賃金として定額で支払う賃金と説明しています。

固定残業代を支払う場合でも、通常の賃金部分と固定残業代部分を判別できるようにし、実際の割増賃金が固定残業代を上回る場合は差額の支払いが必要です。

固定残業代はやめとけと言われる理由

固定残業代が「やめとけ」と言われるのは、制度自体よりも、求人票や運用が曖昧な場合にトラブルになりやすいからです。たとえば、月給総額だけが大きく見えて、基本給と固定残業代の内訳が分からない求人では、実際の基本給が想像より低い可能性があります。

また、固定残業時間を超えた分が追加で支払われるか、休日労働や深夜労働が含まれるのか、実際の残業時間がどれくらいなのかが分からないと、入社後に「思っていた条件と違う」と感じやすくなります。固定残業代あり求人は、総額よりも内訳と運用を見ることが重要です。

やめとけと言われる理由 何が問題になりやすいか 求人票で確認すること
月給が高く見える 固定残業代込みで総額表示され、基本給が見えにくい 固定残業代を除いた基本給
残業時間が多そう 固定残業時間が長く、実際の残業も多い可能性がある 固定残業時間と月平均残業時間
超過分が出るか不安 固定時間を超えた残業代の扱いが曖昧 超過分の法定どおり追加支給
休日・深夜労働が分かりにくい 時間外、休日、深夜のどこまで含むか不明 対象となる労働時間の範囲

固定残業代そのものは違法とは限らない

厚生労働省の「スタートアップ労働条件」では、固定残業代について、基本給に組み込むタイプと基本給とは別の手当として支払うタイプがあると説明されています。重要なのは、通常の労働時間の賃金に当たる部分と、割増賃金に当たる固定残業代部分を判別できるようにすることです。

さらに、固定残業代の金額が労働基準法37条などに基づいて算定した割増賃金の額を下回る場合は、その差額を支払う必要があると案内されています。つまり、固定残業代があるから追加の残業代が出ない、という理解は誤りです。

転職Tips

「固定残業代あり」だけで避けず、3点を見る

見るべきなのは、固定残業代を除いた基本給、何時間分の固定残業代か、固定時間を超えた分が追加支給されるかです。

この3点が求人票や労働条件通知書で確認できない場合は、面接やオファー面談で確認しましょう。

求人票で確認すべき固定残業代の3項目

厚生労働省は、労働者を募集する際に固定残業代を定額で支払う場合、固定残業代にかかる計算方法、固定残業代を除外した基本給の額、固定残業代の算定基礎となる時間数を超える時間外労働・休日労働・深夜労働分の割増賃金を追加で支払うことを、求職者等に書面等で明示する必要があると案内しています。

ハローワークインターネットサービスの求人情報入力方法でも、基本給に固定残業代が含まれている場合は、その分を抜き出して「固定残業代」に入力すること、固定残業代の額と、時間外労働の有無にかかわらず固定的に支給されること、超過分が法定どおり追加で支給されることを記載することが説明されています。

確認項目 求人票で見たい記載 注意したい記載
基本給 固定残業代を除いた基本給が分かる 月給総額だけで内訳が分からない
固定残業時間と金額 何時間分、いくら分かが分かる 固定残業代の金額だけで時間数がない
超過分の支払い 固定時間を超えた分は追加支給と分かる 超過分の扱いが書かれていない
休日・深夜労働 対象範囲が分かる 時間外、休日、深夜の区別が曖昧

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危ない求人票の見分け方

固定残業代あり求人で注意したいのは、「固定残業代込み」とだけ書かれていて、基本給、固定残業時間、金額、超過分の支払いが分からないケースです。月給が高く見えても、固定残業代を除くと基本給が低く、賞与や退職金の計算基礎に影響する場合があります。

また、固定残業時間が長い場合は、それだけの残業が毎月前提になっていないか確認が必要です。固定残業時間と実際の月平均残業時間が近いのか、固定残業時間を超える月がどれくらいあるのか、休日・深夜の扱いはどうなるのかを確認しましょう。

  • 「月給○万円、固定残業代含む」だけで基本給が分からない
  • 固定残業代の時間数が書かれていない
  • 固定残業時間を超えた分の追加支給が書かれていない
  • 実際の月平均残業時間が求人票にない、または説明が曖昧
  • 休日労働や深夜労働が固定残業代に含まれるか分からない
  • 「管理職」「年俸制」などを理由に残業代の説明が曖昧

転職裏情報

固定残業時間が長い求人は「残業の実態」を聞く

固定残業時間が長いからといって、すべての求人が危険とは限りません。

ただし、固定残業時間が長いほど、実際の残業時間、繁忙期、休日対応、超過分支払いの確認が重要になります。

固定残業代あり求人のメリットと注意点

固定残業代あり求人にも、毎月の給与見込みが立てやすい、一定時間までは残業の有無にかかわらず固定的に支給される、会社側が給与計算を設計しやすいといった面があります。制度が明確に運用され、超過分が支払われているなら、固定残業代そのものを理由に避ける必要はありません。

一方で、求職者側にとっては、月給総額だけでは基本給が見えにくい、残業が前提の職場に見えやすい、賞与・退職金・昇給の計算基礎が分かりにくいという注意点があります。比較するときは、固定残業代込みの月給だけでなく、固定残業代を除いた基本給で見ることが大切です。

観点 メリットになり得る点 注意したい点
月給 毎月の支給額を見込みやすい 基本給が低く見えにくいことがある
残業 一定時間までは定額で支給される 残業前提の職場か確認が必要
超過分 明確に支払われる運用なら安心材料になる 支払いルールが曖昧だとトラブルになりやすい
比較 総支給額を把握しやすい 固定残業代なし求人と単純比較しにくい

36協定・労働条件通知書・給与明細で見るポイント

ハローワークの求人情報入力方法では、時間外労働を行わせる場合には、労働基準法第36条に基づく時間外・休日労働に関する労使協定、いわゆる36協定の締結と労働基準監督署への届出が必要と説明されています。

また、厚生労働省は、労働契約の締結に際して、賃金の決定・計算・支払方法などを労働者に明示しなければならないと案内しています。固定残業代あり求人では、求人票だけでなく、内定後の労働条件通知書、雇用契約書、給与明細で同じ内容が確認できるかを見ることが重要です。

  • 労働条件通知書に、基本給と固定残業代が分かれて書かれているか
  • 固定残業代が何時間分の時間外・休日・深夜労働に対応するか
  • 固定時間を超えた分の追加支払いが書かれているか
  • 実際の勤怠管理がされ、給与明細で超過分が分かるか
  • 36協定の範囲、特別条項、繁忙期の残業時間を説明してもらえるか
  • 求人票、面接説明、労働条件通知書の内容にズレがないか

面接・オファー面談で使える確認テンプレート

固定残業代あり求人に応募する場合は、面接で聞きにくいと感じる人もいます。しかし、入社後のミスマッチを避けるには、給与内訳や残業の実態を確認することが必要です。聞き方は、会社を疑う表現ではなく、働き方を理解したいという姿勢にすると自然です。

テンプレート

固定残業代あり求人で聞く質問

月給の内訳について、固定残業代を除いた基本給と、固定残業代の金額を確認できますか。

固定残業代は何時間分の時間外労働に相当しますか。休日労働や深夜労働も含まれますか。

固定残業時間を超えた場合の割増賃金は、どのように計算・支給されますか。

直近の月平均残業時間と、繁忙期の残業時間の目安を教えてください。

残業時間はどのように勤怠管理され、給与明細ではどの項目で確認できますか。

賞与、昇給、退職金の計算基礎は、基本給と固定残業代のどちらをもとにしていますか。

内定時に労働条件通知書で、基本給、固定残業代、超過分支払い、就業場所、業務内容を確認できますか。

すでに働いていて不安な場合の相談先

すでに固定残業代ありの職場で働いていて、超過分が支払われていない、勤怠記録と給与明細が合わない、求人票と実際の条件が違うと感じる場合は、記録を整理して相談することが大切です。

厚生労働省は、賃金不払残業、いわゆるサービス残業について、労働基準法に違反するあってはならないものと説明しています。また、総合労働相談コーナーでは、募集・採用、賃金、配置転換、いじめ・嫌がらせ、パワハラなど労働問題について相談を受け付けています。

  • 求人票、労働条件通知書、雇用契約書を保管する
  • 給与明細と勤怠記録を照合する
  • 残業時間、休日労働、深夜労働の記録を残す
  • 会社に確認した内容は日付と担当者をメモする
  • 不安が強い場合は総合労働相談コーナーなどの公的窓口に相談する

よくある質問

固定残業代は違法ですか?

制度そのものが直ちに違法とは限りません。厚生労働省は、通常の賃金部分と固定残業代部分を判別できるようにし、固定残業代が実際の割増賃金を下回る場合は差額を支払う必要があると案内しています。

固定残業代込みの求人は避けたほうがいいですか?

固定残業代があるだけで避ける必要はありません。ただし、基本給、固定残業代の金額、何時間分か、超過分支払い、実際の残業時間が確認できない求人は慎重に見たほうがよいです。

固定残業時間より残業が少ない月は損ですか?

固定残業代は、時間外労働の有無にかかわらず固定的に支給される設計が一般的です。ただし、制度の詳細は会社ごとに異なるため、労働条件通知書や給与規程で確認しましょう。

固定残業時間を超えたら残業代は出ますか?

厚生労働省は、固定残業代の算定基礎となる時間数を超える時間外労働、休日労働、深夜労働分について、割増賃金を追加で支払うことを明示する必要があると案内しています。求人票や労働条件通知書で確認しましょう。

まとめ:固定残業代は「内訳・時間・超過分」で判断する

固定残業代は、それ自体が直ちに違法な制度ではありません。ただし、求人票で基本給と固定残業代が分かれていない、何時間分か分からない、超過分支払いが書かれていない、実際の残業時間が説明されない求人は注意が必要です。

固定残業代あり求人を見るときは、月給総額だけで判断せず、基本給、固定残業代の金額、固定残業時間、超過分支払い、休日・深夜労働、36協定、労働条件通知書まで確認しましょう。自分だけで判断しにくい場合は、求人票を見ながら相談するのが現実的です。

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