「どうすれば鍼灸師になれるの?」
「鍼灸師の資格取得は難しい?」
「資格を取るのに費用はどれくらいかかる?」
といった疑問を持ってはいませんか?
今回の記事では
- 鍼灸師について
- 鍼灸師になる方法
- 鍼灸師が向いている人
などを紹介。
今回の記事を読んでもらうと、鍼灸師の仕事内容や資格の取得する流れといったことがわかります。ぜひ鍼灸師についての理解を深めて、鍼灸師になるための第1歩としてください。
鍼灸師とは?
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鍼灸とは、古くから日本や中国に伝わる東洋医学の治療法のこと。鍼(はり)や灸(きゅう)を用いて治療を行い、身体の不調を内側から根本的にアプローチすることを目的としています。私たちが日常でよく目にする西洋医学とまったく違うアプローチをすることが特徴。また、効果についてもWHOが認めており、43の疾患に対して鍼灸の治療が適していると発表されています。日本でも鍼灸の効果は認められており、神経痛やリウマチといった一部の症状に対して健康保険の適応を受けることも可能です。
鍼灸師の仕事内容
鍼灸師が行う仕事内容(治療法)は主に
- 鍼治療
- 灸治療
- 脈診
- 望診
の4つ。それぞれ解説します。
鍼治療
鍼治療とは、鍼を経穴(けいけつ)と呼ばれるツボに刺すことで身体に刺激を入れて活性化。その刺激によって痛みや筋肉の凝りを取り除くことや、自然治癒力を高めたり免疫力を高めるといった効果を期待できます。鍼を刺してすぐ抜いたり、鍼に微弱な電気を流したりと治療法はさまざまです。
また、「はり」と聞くと痛そうなイメージがあるかも知れません。しかし、鍼治療で使われる鍼は注射や裁縫などで使われる針と違い、3分の1ほどの太さ。それに加えて、鍼治療で使われるはりは細いだけでなく先端が丸みを帯びるような形状になっているため、身体に刺してもほぼ痛みを感じません。
灸治療
灸治療とは、よもぎからつくられる艾(もぐさ)を使って熱による刺激を加えていく治療法です。もぐさを皮膚の上に置き、火をつけることで経穴と呼ばれるツボに刺激を入れていきます。灸治療は大きく2つに分かれており、それが直接皮膚にもぐさをのせて火をつける「直接灸」、もぐさと皮膚の間にしょうがやにんにくなどを入れる「間接灸」という2つの治療法です。
特に肩こり、冷え性の治療に効果的。また、火を使った治療ですがやけどするほど熱いということはなく、心地良い温かさとなっています。
脈診
脈診とは患者様の脈を測定し、身体のエネルギーの流れやバランスといったものを観察する治療法。医師が行う脈拍測定とは違う技術となるので取得が難しいですが、うまく使えると効果的に治療を行うことができます。
望診
望診とは患者様の表情や皮膚の色、肌ツヤ、血色、舌の状態などを観察して診断する方法のこと。これらに加えて動作なども観察することで、栄養状態や病状といった患者様の状態を把握することが可能です。
鍼灸師が活躍できる場所
鍼灸師はさまざまな場所で活躍することが可能です。主な活躍の場所(就職先)としては
- 鍼灸院
- 美容サロン
- スポーツ施設
- 介護、医療施設
- 独立
といったものがあるのでそれぞれ紹介します。
鍼灸院
鍼灸院は鍼灸師の活躍の場としてはもっとも多いところ。慢性的な痛みや不調を抱えたお客様に対して、鍼灸の施術を用いてアプローチしていきます。また、鍼灸院によってはあんまマッサージ指圧師といった他の役職の人と連携しながらお客様に対して施術していくところも。
美容サロン
鍼灸師は美容鍼を専門としている美容サロンなどでも働くことが可能です。美容鍼は痛みや不調などにアプローチするのではなく、鍼によって肌の血行を促してフェイスラインを引き上げる、シワの改善といったことを行います。最近では芸能人でも利用している人が増加中です。
スポーツ施設
鍼灸師がフィットネスクラブで働いたり、スポーツトレーナーとして活躍しているというパターンも増えてきています。スポーツや運動と鍼、灸は非常に相性がいいです。スポーツによって生じた痛みや不調に鍼灸師がアプローチすることで、パフォーマンスを高めたり、ストレスなく運動を続けることにつながります。スポーツ施設で働いたり、スポーツトレーナーになるのはスポーツや運動に興味のある方にはおすすめ。
介護、医療施設
介護施設や病院でも鍼灸師の需要は高まっています。なかなか外出ができない高齢者のために在宅での鍼灸治療を行なったり、西洋医学でのアプローチでなかなか改善しない患者様に対応するといったことが可能です。これからますます高齢化社会となるので、介護、医療施設での需要はますます高まると予想されます。
独立
鍼灸師は独立して開業することが可能。なぜなら鍼灸師の資格は医師などと同じく独立、開業する権利を与えられているから。そのため、治療院などで働いて経験を積んだのちに独立して開業するという人が多くいます。鍼灸師の働き方としては独立も選択肢の1つです。
平均年収
鍼灸師の平均年収は400万円ほど。月収にすると30万円程度となっています。また、鍼灸師は年収の低い層と高い層では約250万円と大きく差が開いているのも特徴的。それに加えて、独立して開業した場合はさらに年収が高くなる傾向があります。
鍼灸師になるには?
鍼灸師になるために大事なポイントについて
- 必要な資格
- 資格取得の流れ
- 取得にかかる期間
- 合格率、難易度
- 取得にかかる費用
といったことを紹介します。
必要な資格
鍼灸師になるためには国家資格を取得することが必要。具体的には「はり師」、「きゅう師」という2つの資格です。この2つの資格を取得しないと鍼灸師として働くことはできません。「はり師」と「きゅう師」は国家資格なだけあって受験するための条件があったり、試験の開催が年1回と少なかったり取得が難しい資格です。
資格取得の流れ
「はり師」、「きゅう師」の資格取得の流れは
- はり師、きゅう師養成施設に入学し卒業する
- 国家試験を受験し合格する
- 鍼灸師の資格取得
といった感じです。細かく紹介していきます。
1.はり師、きゅう師の養成施設に入学し卒業する
鍼灸師になるためには厚生労働省と文部科学省が指定する養成校に入学し、卒業することが必要。その理由は、厚生労働省と文部科学省が指定する養成校を卒業することが受験資格になっているからです。そのため、指定されている大学や専門学校で人体の構造や機能、基礎的なはりやきゅうについて、はりやきゅうの実技などを学ぶことになります。鍼灸師になりたい場合は、まず指定された養成校に通いましょう。
2.国家試験を受験し合格する
指定された養成校を卒業することができたら国家試験を受験しましょう。鍼灸師として活動するためには「はり師」、「きゅう師」の資格が必須。試験では医療概論、衛生学解剖学や生理学、東洋医学概論、はり理論、きゅう理論などが出題されます。170問出題されて6割の正答率で合格となるので、しっかり勉強しましょう。
3.鍼灸師の資格取得
国家試験に合格すると「はり師」、「きゅう師」の資格を取得することができます。国家資格を取得すると、いよいよ鍼灸師として活動することが可能です。
取得にかかる期間
鍼灸師になるための資格取得にかかる期間は最短で3年です。その理由は、厚生労働省と文部科学省によって指定されている養成校で、専門学校の3年が最短で卒業できる期間だから。実際には指定された大学に通った場合は4年。国家試験も一発で合格しなかった場合はそれ以上に期間がかかってしまうこともあります。しかし、最短で鍼灸師になるためには指定の専門学校に通い、国家試験も一発で合格するというパターン。これだと3年で鍼灸師になることが可能です。
合格率、難易度
はり師、きゅう師の国家試験の合格率、受験者数、合格者数を過去5年分それぞれ紹介します。
はり師の合格率
合格率 | 受験者数 | 合格者数 | |
2018年 | 57.7% | 4,622人 | 2,667人 |
2019年 | 76.4% | 4,861人 | 3,712人 |
2020年 | 73.6% | 4,431人 | 3,263人 |
2021年 | 70.0% | 3,853人 | 2,698人 |
2022年 | 74.2% | 3,982人 | 2,956人 |
2018年の合格率は60%を下回ってしまっていますが、平均的に70%〜75%の合格率となっています。
きゅう師の合格率
合格率 | 受験者数 | 合格者数 | |
2018年 | 62.5% | 4,555人 | 2,845人 |
2019年 | 78.5% | 4,655人 | 3,656人 |
2020年 | 74.3% | 4,308人 | 3,201人 |
2021年 | 72.2% | 3,797人 | 2,740人 |
2022年 | 76.1% | 3,892人 | 2,963人 |
きゅう師の資格も2018年は合格率が低くなっていますが、概ね70%〜75%の合格率。はり師、きゅう師ともに受験資格が厳しいですが、試験自体は合格率70%とそこまで難しい資格ではありません。また、はり師ときゅう師の資格を同時に受験すると、どちらかの共通科目が免除になります。受験するときはどちらも一緒に受験するようにしましょう。
取得にかかる費用
鍼灸師の取得にかかる主な費用は
- 養成校の入学金、授業料
- 授業料以外の費用
- 国家資格の取得にかかる費用
の3つ。それぞれ解説します。
養成校の入学金、授業料
養成校の入学金、授業料は専門学校で400万円〜500万円。4年製の大学の場合は500万円〜600万円ほどです。鍼灸師になるためには指定の養成校を卒業しなければいけません。この費用は必ずかかってしまいます。また、入学金や授業料はその学校によっても変わるので、自分の行きたい学校は必ずチェックしましょう。
授業料以外の学費
鍼灸師の養成校では、入学金や授業料の他にも費用がかかります。具体的には授業で使う教科書、白衣、実習代などです。一般的には入学金や授業料に加えて、10万円〜30万円ほどかかるところ多くなっています。
国家資格の取得にかかる費用
はり師、きゅう師の国家試験を取得するときにも費用がかかります。資格取得には試験の受験料、申請手数料と登録免許税の費用が必要です。
試験の受験料
はり師、きゅう師の国家試験を受験するためには、1つの試験につき14,400円。鍼灸師になるにははり師、きゅう師のどちらも必要なので、合わせて28,800円の受験料がかかります。
申請手数料と登録免許税
鍼灸師になるためには、国家試験の合格後に申請手数料と登録免許税が必要。1つの資格につき申請手数料が5,200円、登録手数料が9,000円です。なので、2つ分にすると申請手数料は10,400円、登録免許税が18,100円、合計で28,400円となります。
ここまで紹介した費用を合計すると、鍼灸師になるために必要な費用は420万円〜650万円。こまかい費用については通う養成校によっても変わるので、自分の行きたい養成校だとどれくらいかかるのか確認するようにしましょう。
こんな人に鍼灸師はおすすめ
鍼灸師に向いているのは
- 人を助けるのが好き
- 学ぶ意欲がある
- コミュニケーション能力が高い
といった人です。それぞれ解説します。
人を助けるのが好き
鍼灸師は人を助けるのが好きな人に向いている仕事。その理由は、はりやきゅうを使った治療でお客様の痛みや不調を取り除くから。実際に自分の手でお客様の悩みにアプローチするので、人を助けている実感を得やすくなります。
学ぶ意欲がある
鍼灸師は学ぶ意欲があることも重要なポイント。なぜなら、医療は常に進化しているから。1回勉強したら終わりではなく、常に勉強することでお客様に対して最善のアプローチをすることができます。
コミュニケーション能力が高い
コミュニケーション能力の鍼灸ににとって重要。その理由は、鍼灸師は接客の仕事だから。面白い話をする必要はありませんが、お客様の悩みを引き出したり、信頼してもらうといったことのためにコミュニケーション能力は必要です。
まとめ
今回は鍼灸師の資格について紹介しました。主な内容は
- 鍼灸とは鍼や灸を使った東洋医学の治療法。
- 鍼灸師は鍼治療、灸治療、脈診、望診といった治療法を使う。
- 鍼灸師は鍼灸院、美容サロン、スポーツ施設、介護、医療施設といった場所で活躍できる。また、独立する人もいる。
- 平均年収は400万円ほど。
- 鍼灸師になるにははり師、きゅう師の国家資格が必要。
- 国家資格を受験するためには指定された養成校を卒業しなければいけない。
- 試験の合格率ははり師、きゅう師ともに70%〜75%ほど。
- 取得にかかる費用は420万円〜650万円。
- 鍼灸師に向いているのは人を助けるのが好き、学ぶ意欲がある、コミュニケーション能力が高い人
といったものでした。鍼灸師は人の痛みや不調に直接アプローチすることのできる素晴らしい仕事です。今回の記事を参考に鍼灸師になるための勉強を始めましょう。
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