近年では、超高齢化社会の影響もあり、地域に働き先が多い職種だと知っていますか？

「理学療法士」と「作業療法士」の名前は聞いたことはありますが、どんな仕事をしているかよくわかりません。というお声を耳にします。

主に、病院や診療所でリハビリを行う専門家のイメージがありますが、理学療法士と作業療法士で、働き方にどのような違いがあるのか解説していきます。

大きく3種類に仕事内容が分けられています。

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理学療法士とは

リハビリテーション(リハビリ)を行う専門家です。

「寝返り」「座る」「立つ」「歩く」などの身体の機能を回復するために訓練を行います。

病気や事故、身体の障害によって日常生活を送ることがむずかしくなった場合に、リハビリテーションを取り入れて、日常生活を送るためのサポートをすることが目的です。

理学療法士が担当するリハビリテーション3つ

運動療法、物理療法、住宅環境の整備があります。

詳しく内容を解説していきます。

01.運動療法

運動療法は全身的な回復を目指しています。

今まで、当たり前のようにできていた動作が、病気やけがによって急に身体が動かなくなってしまうことがあります。

患者さん自身が早く回復したという気持ちから、焦って訓練を増やしたとしても、回復の近道にはなりません。

なぜなら、全身は繋がっているからです。

関節や筋肉を部分的から全身へと部位を分けて、指導を受けながら訓練を行っていくことが大切です。

基本的な訓練の種類を見ていきたいと思います。

①関節可動域訓練(ROM訓練)

目的：患者さんが自力で身体を自由に動かせるようにするための訓練です。

麻痺によって筋肉が萎縮している場合や、長い間、体を動かせなかったことが原因で、筋肉の柔軟性が失われてしまします。そこで、関節が動かしにくくなることと、変形を防ぐために行います。

➁基本動作訓練

目的：日常生活を取り戻すために行います。

ベッド上では、寝返り、起き上がり、ベッドから車椅子への移乗を訓練します。

椅子を使って座った体勢から立ち上がる訓練を行い、徐々に平行棒を使っての歩行訓練へと移行していきます。

③筋力増強訓練

目的：筋力が弱っている患者さんに、筋力を増やす、維持するために行います。

年齢によっても筋肉量には個人差があります。

一人ひとりの患者さんに合ったメニューで訓練することが大切です。

④持久力増強訓練

目的：心臓や血管、肺を強くするためのトレーニングになります。

歩行や自転車の機械を使い、全身の大きな筋肉を動かして運動を行います。

⑤全身調整訓練

目的：長期間の寝たきりにより動かなくなった身体をバランスよく動かせるようにするためです。

関節可動域訓練、筋力強化訓練、歩行訓練を組み合わせて訓練をおこないます。

その他に、治療体操や呼吸練習の指導があります。

02.物理療法

効果としては、外部から刺激を加えて、身体を動かしやすくする方法です。また、痛みや、むくみの軽減につながります。

方法は、温熱、光線(レーザー)、電気(低周波)、水圧マッサージ(ウォーターベッド)などを使用して治療します。

03.住宅環境の整備

退院後に患者さんが日常生活を1日でも早く取り戻せるように、家庭や会社の環境を整えるために、手すりやバリアフリーの設置などの提案を行います。

作業療法士とは

病気やけがなどによって日常生活の動作がむずかしくなった人を対象に、動作の回復を目指して、リハビリテーションを行う専門家です。

「食べる」「洗う」「作る」「書く」などの動作をサポートしています。

理学療法士と比較して大きな違いは、心のリハビリテーションとしてメンタルケアも合わせて行うことが特徴の一つです。

作業療法士が担当するリハビリテーション3つ

基本的動作能力、応用的動作能力、社会的適応能力です。

01.基本的動作能力

目的：日常生活を送ることができるように段階を踏んで、基本的な動作の獲得を目指しています。

• 関節の運動(指1本から体の関節まで)
• 知覚(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)
• 感覚(体操、ダンス、トランポリン)
• 心肺
• 精神
• 認知

02.応用的動作能力

目的：家庭へ戻った時に、日常生活に困らないように動作の訓練をしていきます。

食事や家事、トイレなどの日常生活で必要となる活動の練習を行います。

• 食事の練習
• 料理の練習
• 着替えの練習
• 排泄の練習
• 入浴の練習
• 金銭、貴重品などの管理練習

03.社会的適応能力

目的：相手との関わりを持つために、社会生活に必要な訓練を行います。

• 習字、計算
• パソコン
• コミュニケーション能力、対人関係
• 外出の練習、公共交通機関の利用

理学療法士と作業療法士の比較

理学療法士が働く時期と場所

身近な地域に働き先が多いことも特徴の1つです。

子どもからお年寄りまで、人生のサポート役として活躍できる仕事です。

リハビリテーションを行う職場から、リハビリテーション以外からサポートする職場があります。

まずはじめに、リハビリテーションをメインで行う職場をみていきます。

①病院、診療所

病院では入院患者さんのリハビリを集中して行うことが可能です。

短期間で集中的にリハビリに取りくむことができます。

また、退院に向けて積極的にリハビリに取り組む患者さんは、効果が目に見えてわかりやすいです。

総合病院には、他の診療科があり多職種で連携を取り合い、病気やけがの後遺症に合わせたリハビリ計画を立てています。

診療所では、整形外科の外来患者さんにリハビリテーションを行います。

デメリット

• 日々の業務記録を書く機会が多い
• リハビリ以外の業務や病院内のイベントに参加することもある

メリット

• 症例数が多くスキルアップにつながる
• 多職種と連携を取り仕事を進めることができる

➁介護施設

治療体操や運動、電気療法、マッサージなどの物理療法を取り入れて在宅復帰や日常生活の支援をサポートします。

施設の利用者さんの中には、リハビリに消極的な方もいます。

その日の体調や気分によって、スムーズにリハビリ計画が進まないこともありますが、一人ひとりの利用者さんに長期間にわたって、寄り添うことができるのが、介護施設のメリットです。

デメリット

• 介護のサポートを行う場面もある
• 利用者さんがリハビリに対して消極的な場合は、計画がスムーズに進まないこともある

メリット

• 一人ひとりに寄り添ったリハビリ計画を立てることができる
• 長期間にわたり経過をみることができるのでやりがいを感じる

③スポーツ関連施設

スポーツ選手の競技中や練習中に起こる、突然のけがや病気に対する応急処置やリハビリテーションの指導を行っています。

スポーツ選手がけがをしないためのフォームの改善、けがの再発予防をするために、からだの使い方を指導しています。

それぞれのスポーツに対する専門知識と医学的な知識が必要となりますが、野球やサッカーなど医療からスポーツの現場へと、幅広い分野で活躍することが可能です。

また、フィットネスやスポーツジムなどでも活躍の場を広げることができます。

デメリット

• メンタルケアも行う
• 医学的専門知識やスポーツの専門知識が必要となる

メリット

• 幅広い分野で活躍できる
• 選手との信頼関係を築くことができる

リハビリテーション以外からサポートすることができる職場もあります。

①行政機関

市役所、区役所、保健所などで、公務員としての働き方もあります。

理学療法士としての仕事が用意されているところは少ないですが、最近では、超高齢社会の影響で、介護予防の拡大に向けて需要が高まっています。

主な仕事内容は、介護予防のための講演会や運動指導、機能訓練などです。

保健所などの会場で定期的に開催されています。

デメリット

• 理学療法士以外の仕事を行うことがある
• 講演会などを通して人前で話す機会が増える

メリット

• 公務員として働くことができる
• 地域との関りを持つ機会が増える

➁住宅改修、福祉用具のアドバイス

自宅に戻った際に今まで生活していた環境では、生活しにくい場面が出てきます。

そんな時に、住環境を整える役割を担い、必要に応じて福祉用具の提案をしています。

住宅改修は手すりやスロープの設置のことで、玄関やトイレ、浴室といった各場所に設置する提案や申請が主な仕事内容です。

福祉用具には、車いす、歩行器、杖などがあり、レンタルや購入のアドバイスを行っています。

作業療法士が働く時期と場所

①一般病院、精神病院

一般病院は、入院の時期に合わせて「急性期」「回復期」のリスクを管理しながらサポートしていくこと大切です。

精神病院では、患者さんに対して緊張と不安症状を和らげることを担っています。

特に、統合失調症やうつ病などを抱える患者さんを対象にサポートしています。

デメリット

• 勉強会が多い
• メンタル維持か大切
• 毎日の業務レポートや症例発表の準備がある

メリット

• 症例の数が多くスキルアップにつながる
• 多職種と連携して仕事を進めることができる
• 回復するまで経過を追って寄り添うことができる

➁介護施設

介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、デイサービスなどで活躍しています。

介護施設では、主に「生活期」で必要な動作のサポートをしている場所です。

医療現場では、「急性期」と「回復期」の時期にリハビリをメインにしています。

日常生活動作の訓練を行い、在宅復帰に向けて、工夫された福祉用具の提案も行っています。

また、心のケアも合わせて行うことを欠かしません。

デメリット

• リハビリ以外の業務に対応することもある
• リハビリ専門の業務はひとりで対応することがあり、責任感が必要

メリット

• 長期にわたって寄り添うことができる
• 一人ひとりに合ったリハビリ計画を立てやすい

③児童福祉施設

障害を持つ子どもが日常生活や社会生活に参加できるようにサポートしています。

身体と脳の発達に合わせてサポートし、家族からの相談に対してアドバイスを行っています。

デメリット

• 採用人数が少ないため、一人で任されることが多い
• 家族からの相談もあるため、コミュニケーション力も求められる

メリット

• 子どもの成長を感じることができる
• 送迎時間が決まっているのでスケジュールが立てやすい

まとめ

理学療法士、作業療法士ともに、選択肢が多い職種です。

人と関わることや身体を動かすことが好きな方は、理学療法士がおすすめで、観察力や物事に興味関心がある方は、作業療法士がおすすめです。

最近では、需要が高まり、スポーツ関連施設や、児童福祉施設で活躍している人も増えています。

自分に合った環境で働きながら、幅広い分野で勉強することができるので、スキルアップにつながります。

ひとりの患者さんを一対一でサポートし、経過を追ってコミュニケーションを取ることができるのでやりがいを感じやすいです。

同じ病名でも、年齢や個人に合わせたリハビリ計画が必要となります。

一人ひとりに合わせたリハビリを行うことで回復に向かいます。

自分に合う職場環境を探してみてください。

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