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パーソナルトレーナーが理学療法士を取得するメリットは?

理学療法士として働いている人の中には、パーソナルトレーナーとしてその知識を活かしたいと考えている人も多いのではないでしょうか。

理学療法士とパーソナルトレーナーは、身体機能や運動機能に関する指導をするという点で共通しています。

しかし、パーソナルトレーナーが理学療法士を取得することにどのようなメリットがあるのか分からず、なかなか資格取得に踏み切れない人も多いです。

そこで本記事では、パーソナルトレーナーが理学療法士の資格を取得するメリットや理学療法士になる方法などを紹介します。

「理学療法士の知識をパーソナルトレーナーに活かして働きたい」と考えている人は、ぜひ最後までチェックしてみてください。

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パーソナルトレーナーが理学療法士になることは可能?

理学療法士

結論から言うと、パーソナルトレーナーが理学療法士になることは可能です。

パーソナルトレーナーになるために必要とされる公的な資格はありません。

トレーナー系の民間資格はいくつか存在しますが、それらの資格がなくてもパーソナルトレーナーになることはもちろんできます。

ただし、パーソナルトレーナーとして活躍するためには、トレーニング理論や身体に関する特別なスキルが必要です。

特に、フリーランスとして独立して活動したいと考えている人は実務経験が求められます。

理学療法士は国家資格のため、確かな知識と技術があることを周囲に証明できます。

そのため、ほかのトレーナーと差別化できてアドバンテージとなるのでパーソナルトレーナーを目指す際の就職に有利になるでしょう。

パーソナルトレーナーと理学療法士の違いは?

理学療法士とパーソナルトレーナーは全く違う職業と思われがちですが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。

ここからは、「仕事内容」「勤務先・働き方」「平均年収」の3部門に分けて、理学療法士とパーソナルトレーナーの違いについて紹介します。

仕事内容

理学療法士の仕事内容は、人間が活動するために必要な基本動作の回復を図るリハビリテーションを行うことです。

基本動作とは「起き上がる」「歩く」「座る」といった日常生活で基本となる動きのことです。

事故やケガ、病気などで基本的動作ができなくなった人に、運動やマッサージ、ストレッチといった手法でリハビリを提供するのが理学療法士の仕事です。

それに対して、パーソナルトレーナーは、クライアントに適したトレーニングプログラムを作成して、それに沿ったエクササイズ指導をします。

トレーニングだけでなく怪我をした人へのリハビリや食事指導などを行うこともあります。

クライアントの目標を実現させるために安全かつ効率的にマンツーマンサポートするのがパーソナルトレーナーの仕事です。

勤務先・働き方

理学療法士は主に医療機関や介護施設などで勤務するのが一般的です。

基本的には正規雇用の日勤で働き、夜勤はありません。

理学療法士はどこかの医療施設などで働くことが多いので、雇用が非常に安定しているというメリットがあります。

しかし、理学療法士として独立・開業して理学療法を提供することはできません。

パーソナルトレーナーはスポーツジムやフィットネスクラブで勤務することが多いです。

また、正社員以外にフリーランスやアルバイトなどの働き方も柔軟に選べます。

アルバイトとして勤務する場合、シフト制がほとんどですが、フリーランスは働く場所・働く時間を自分で自由に決められるのが大きなポイント。

さらに独立開業して自分のスポーツジムを開設して、経営者になることもできます。

平均年収

理学療法士とパーソナルトレーナーの平均年収は、以下のとおりです。

理学療法士約419万円
パーソナルトレーナー(正社員)約300~500万円

パーソナルトレーナーはフリーランスとして業務委託契約を結ぶ場合、レッスンフィーと呼ばれる時間あたりの料金で報酬が換算されます。

たとえば、1セッション5,000円で月間100セッションをこなし、手数料30%を引く場合、月収は約35万円で年収は約420万円となります。

パーソナルトレーナーが理学療法士の資格を取得するメリット・デメリット

パーソナルトレーナーが理学療法士の資格を目指すメリットとデメリットは以下の通りです。

メリット

クライアントへのサポートを通じてやりがいを感じられる

パーソナルトレーナーになると、さまざまなクライアントと関わってトレーニング指導や食事指導といったサポートにあたります。

クライアント一人ひとりと向き合う中で、目標を達成したのを目の当たりにしたときには大きなやりがいを感じられるでしょう。

年収アップの可能性がある

パーソナルトレーナーは理学療法士と違ってフリーランスとして独立ができます。

自分のスポーツジムを開業すれば、今よりもずっと年収がアップする可能性があります。

うまく軌道にのれば年収1,000万円も夢ではありません。

働き方の選択肢が広がる

理学療法士は、一般的に決まった場所と時間内で働く場合がほとんどです。

それに対してフリーランスのパーソナルトレーナーになれば、勤務場所や勤務時間を自分で自由に決められます。

デメリット

トレーニングプログラムを計画する必要がある

理学療法士は医師の指示に従いながら業務をこなしますが、パーソナルトレーナーは自分で次の行動やプログラムを決めなくては行けません。自主的に行動できない人はパーソナルトレーナーに不向きでしょう。

トレーニング以外の業務も発生する

大手のフィットネスクラブなどで正社員として働く場合、事務・受付・販売といったトレーニング以外の業務も担当しなくてはいけません。

フリーランスの場合収入が不安定になる可能性がある

フリーランスは固定給ではないため、軌道に乗るまでは収入が不安定になりがちです。

理学療法士のように固定給で安定した収入がほしい人にとっては、フリーランスのパーソナルトレーナーの働き方は向いていないかも知れません。

理学療法士になる方法

それでは、パーソナルトレーナーが理学療法士を取得するには一体どのような手順を踏めば良いのでしょうか。

ここからは、理学療法士になる方法について簡単にまとめたのでぜひ参考にしてみてください。

理学療法士の仕事をするには資格が必要

理学療法士として仕事をするためには、まず国家資格を取得しなくてはいけません。

国家資格とは国や地方自治体などが認定する資格で、理学療法士の場合は「理学療法士及び作業療法士法」に基づいて厚生労働大臣が認定します。

まずは大学・短大・専門学校へ進学

理学療法士の国家試験を受験する資格を得るためには、養成校で3年以上学んで必要な知識と技術を身につけます。

養成校は4年制大学・短期大学(3年制)・専門学校(3年制、4年制)・特別支援学校(視覚障害者が対象)とさまざまな種類があります。

資格取得後に、より専門的な分野を学びたい人や研究職を目指す人は大学院への進学も可能です。

すでに作業療法士の資格を保有している人は、養成校で2年以上学べば受験資格が得られる仕組みです。

外国の養成校を卒業した人や、外国で理学療法士の免許を取得した人は、所定の手続きを済ませて厚生労働大臣の認定を受ければ、定められた単位のみ取得すれば理学療法士になれる場合もあります。

大学・短大

日本理学療法士協会の調査によると、2016年時点での養成校の総数は258校です。

このうち4年制大学は102校、3年制の短期大学は6校で、4年制大学には医療や福祉に特化した学科で理学療法に関する専門分野をしっかり学べるようになっています。

4年制大学では学内実習や臨床実習を通じて、実践的な技術・知識が身につけられるというメリットがあります。

さらに理学療法の分野においては研究職のニーズも高まっているので、大学院へ進学して研究に専念する人も多くなってきています。

専門学校

日本理学療法士協会の調査によると、2016年時点で3年制・4年制の専門学校の総数は150校という結果でした。

専門学校は国家資格の試験対策が充実しており、座学よりも臨床実習などの実践系授業に専念している特徴があります。

3年制の専門学校は、1年次から順番に教養基礎→専門科目→臨床実習へと進んでいくため、実質2年間の知識で実際の研修に入ることになります。

一方4年制の専門学校は、1年次から教養基礎→専門基礎科目→専門科目へと進み、3年間を費やして基礎知識と専門知識をしっかりと学んだ後に4年の実習に入ります。

4年制の専門学校は大学扱いとなるので、卒業すると大学院の入学資格も同時に得ることが可能です。

理学療法士の試験について

一般問題

一般問題はマークシート式試験です。

主に養成校の授業で学習する内容から出題され、試験科目は以下の通りです。

  • 解剖学
  • 生理学
  • 運動学
  • 病理学概論
  • 臨床心理学
  • リハビリテーション医学(リハビリテーション概論を含む)
  • 臨床医学大要(人間発達学を含む)
  • 理学療法

問題数は全160問です。

実地問題

こちらも一般問題同様マークシート式試験で、授業での内容に加えて実技や実習で習ったことが出題されます。

試験科目は以下の通りです。

  • 運動学
  • 臨床心理学
  • リハビリテーション医学
  • 臨床医学大要(人間発達学を含む)
  • 理学療法

問題数は全40問で、1問3点として計算されます。

一般問題と実地問題の総得点数が274点に対して165点以上、実地問題の満点120点に対して41点以上という2つの条件をクリアすると合格となります。

理学療法士についてくわしく知る

理学療法士

ここからは、理学療法士の詳しい仕事内容や就職先、収入などについてを紹介します。

仕事内容

理学療法士の仕事は医師の指導のもとで、怪我や病気、障がいなどで運動機能が低下した人に対して機能回復や日常生活の維持や改善を図る仕事です。

治療体操、電気療法、マッサージ療法といった治療法の実践や義手・車椅子などの装具を装着するための訓練も主導しています。

症状の進行状況は「急性期・回復期・生活期」の3段階で、対象者の身体能力や生活状況などを評価しつつ各進行状況の目標に向けたプログラムを作成します。

理学療法士は、対象者が実践する運動療法や物理療法、日常生活動作訓練をサポートしつつ自立した日常生活が送れるように指導するのが主な仕事です。

活躍できる場所

医療施設

理学療法士のほとんどが働いているのが病院や診療所といった医療施設です。

10万人以上いる理学療法士のうちのおよそ7割が医療施設に勤務しています。

医療施設に勤務することで多種多様な経験を積めるので、急性期~生活期の対象者に対して意欲的にリハビリに取り組めるスキルが身につきます。

福祉施設

65歳以上の要介護認定された人が入所する介護老人保健施設や、利用者ができるだけ自宅で自立した日常生活が送れるようにする訓練をするための通所リハビリテーション、障がいをもつ人を対象とした身体障がい者療養施設といった副詞節も理学療法士の勤務地となります。

地域包括支援センター

地域包括支援センターは、地域住民の保健・福祉・医療の向上や介護予防マネジメントといった業務を総括して行う施設のことです。

地域によっては、理学療法士が訪問保険指導を目的として介護が必要な個人宅に出向いて利用者の状態を確認しつつ、その家族に向けて介護の方法をアドバイスします。

教育・研究施設

理学療法士のニーズが拡大したことを受けて、養成校の拡充も徐々に進んでいます。

その課程で、教員として活躍する理学療法士も増えつつあります。

さらに、臨床実習指導者として実績を積むことで「臨床実習指導者」の認定試験の受験資格も得られます。

教育や研究施設といった場での活躍も今後さらに広がっていくでしょう。

スポーツ分野

今回の本題であるパーソナルトレーナーもこの分野に当てはまります。

スポーツで怪我をした人の早期回復を図るために、運動療法や物理療法を行うのも理学療法士の仕事のひとつです。

故障したアスリートを最短で現場に復帰させ、同じ怪我をしないように未然に防ぐようにフィジカル面でのサポートをします。

また、疲労回復や故障しにくい身体づくりまでも総合的に行うので、プロのスポーツチームでトレーナーとして活躍している理学療法士も大勢います。

収入

国公立施設の初任給は私立施設の初任給と比較すると若干低く設定されています。

しかし、のちの昇給率は国公立施設の法が高い傾向にあるようです。

理学療法士の平均月収は男性が27.7万円、年間ボーナスは64.8万円。女性だと平均月収26.6万円、年間ボーナスが63.0万円が相場のようです。

理学療法士は国家資格が必要な職業なので、収入の男女差はほとんどないと言えるでしょう。

理学療法士・作業療法士の年齢別平均年収額の推移によると、勤務年数が上がっていくと同時に平均年収額も増えていき、50代前半にピークに達しています。

20代前半(20~24歳)の男性では319.6万円、女性は309.1万円が相場の平均年収です。

そこから徐々に増加し、30代前半(30~34歳)で男性403.2万円、女性378.4万円。40代後半(45歳~49歳)で男性480万円、女性475.1万円、50代前半(50歳~54歳)で男性561.2万円、女性526.2万円でピークに達します。

将来性

高齢化社会に適応した職業

日本は現在、4人に1人が65歳以上の高齢化社会となっています。

理学療法士のニーズが高いのは、こういった背景から老人福祉施設や特別養護老人ホームなどの施設利用者が増えていることが原因です。

利用者のリハビリをサポートや施設の介護スタッフへの介助方法のアドバイスなどを指導するために、理学療法士のニーズが高くなっています。

スポーツ分野でも注目が集まる

理学療法士は、アスリートの身体の動きや姿勢、骨格のゆがみなどを分析して、今後傷害が出ると予想される部位を改善することでさらに競技のパフォーマンス向上が期待できます。

最近ではスポーツ現場での需要が高くなっており、特にプロ野球やプロサッカーチームといったスポーツの現場でトレーナーとして活躍する人も増えています。

さらにケガの原因となる所作を改善することで、怪我予防にもつながります。

こうした専門的な知識や能力を活かして、一般市民を対象にたフィットネスクラブやスポーツジム、市立の健康増進センターなどでも理学療法士のニーズが高まっています。

理学療法士・パーソナルトレーナーに向いている人

理学療法士・パーソナルトレーナーは、それぞれ向いている人の特徴が異なります。

それでは、それぞれどのような特性を持った人が向いているのかについてチェックしましょう。

どちらの特性にも当てはまることが多ければ、理学療法士の知識やスキルを活かしながらパーソナルトレーナーとして活躍できるでしょう。

理学療法士に向いている人

●体力に自信がある人

患者や高齢者などの利用者の身体を支えたり動かしたりするにはかなりの体力がいります。

基本的に体力仕事なので、体力に自信がある人に向いている職業です。

●忍耐強さがある人

1回のリハビリテーションで成果が出なかったとしても、別の方法や手段を考えて根気強く患者や高齢者と向き合う忍耐強さがある人に向いています。

●観察力がある人

理学療法以外の分野で患者・高齢者たちに興味を持ち、小さな気づきからリハビリテーションなどの治療に活かせる観察力がある人も理学療法士として活躍できるでしょう。

パーソナルトレーナーに向いている人

コミュニケーションスキルが高い人

パーソナルトレーナーは基本的にクライアントとマンツーマンで指導します。

クライアントを目標達成へ導くには、活発にコミュニケーションを交わして相手の悩みや相談を聞いてモチベーションを上げていく必要があるでしょう。

一人ひとりと真剣に向き合える人

クライアント一人ひとりの悩みや目標はそれぞれ異なります。

一人ひとりに対して真剣に向き合ってトレーニング指導できれば、それだけ結果に結びつきやすいです。

その結果、クライアントにも喜ばれて自分自身のやりがいにもつながるでしょう。

常に努力できる人

フリーランスとなる場合、自分の努力次第で年収1,000万円を目指すことも可能です。トレーニングの最新情報収集を怠らず、常に努力する姿勢が求められるでしょう。

理学療法士とパーソナルトレーナーのどちらを目指すべきか分からない人は、自分の性格や適性、スキルを踏まえて、自分にマッチした職種を検討するのがおすすめです。

まとめ

今回は、パーソナルトレーナーが理学療法士を目指すメリットやデメリットについて紹介しました。

理学療法士のリハビリテーションなどの専門的な知識は、パーソナルトレーナーとして活躍する際に非常に役立ちます。

理学療法士は国家資格のため、民間資格よりも取得が困難です。

しかし、取得しておけばパーソナルトレーナー以外にもさまざまな働き方の可能性が見えてきます。

自分に合った職業が分からないという人でも、理学療法士の資格を取得した後でも多種多様なキャリアを目指せるでしょう。

パーソナルトレーナーも理学療法士もどちらも今後ニーズが高まってくる職業です。

どちらの仕事にも挑戦してみたいという人は、まずは理学療法士の資格取得を目指してみましょう。

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